2022/10/28 18:05
tsuki.sではカーディガンなど釦が必要なデザインの場合、貝の釦を使用しています。
（もちろんデザインによっては違う素材のものも使います）
そのなかでも「あこう貝」の釦をよく使っていました。この釦は表は透明感がありつつ黒くツルッとしていて、裏に返すとゴトゴトして白っぽい貝の模様が入っているので、大きなボタンを使う場合は表使いにして釦のツルッとした表面感を活かし、ニットのカーディガンなどで釦をつけるなら、釦を裏使いにして貝のゴトゴトした表面感と模様のナチュラルさをデザインに活かしたりと、とても使い勝手の良い釦なのでよく使っていました。けれども最近ではあまり使っていません。
なぜかというと、このあこう貝の釦の「顔」が変わってしまったからです。
あこう貝の釦はセブ島で作られていて、それを日本の釦屋さんが卸しているのですが、この卸していた日本の釦屋さんが会社を畳んでしまったらしいのです。もちろんセブ島ではあこう貝の釦は作り続けているので、別の日本の業者さんが引き継ぎして国内でこの釦は流通しているのですが、どうやら会社を畳んでしまった釦屋さんは、仕入れたセブ島の釦にいままで独自でツヤ出し加工をしていたらしいのです。引き継ぎした釦業者はセブ島で作られたままの状態で流通させているので、釦としては同じなのですが加工のあるかないかで釦の「顔」がまったく変わってしまったのです。
いままで私たちが良いと思っていたあこう貝の「顔」ではなくなってしまったので、この釦を使うことはなくなってしまい残念な気持ちもありますが、服のデザインのひとつひとつに似合う釦を選んだりすることも、tsuki.sのデザインに新鮮さを与えてくれるので、良いこともあったなと前向きにとらえてもいます。
もし、お手持ちのtsuki.sの服にこのあこう貝の釦が使われていたら、貴重な釦と言えるかもしれません。
